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- 2023年12月号掲載 -日経REVIVE

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2024.06.21

A.LANGE&SOHNE ツァイトヴェルク・ミニッツリピーター

この革新的なツァイトヴェルク・ファミリーが誕生したのが2009年でございます。

以降、派生モデルが製作されておりますが、

今回ご紹介のRef. 147.025Fツァイトヴェルク・ミニッツリピーターは2015年にリリースされておりますが、

本ファミリーのみならず、同社のモデルでも最高難易度のメカニズムを搭載するモンスター機でございまして

他の多機能な複合機種とは異なり、ツァイトヴェルクの本質的な魅力を楽しんでいただけるのではないでしょうか。

そもそもツァイトヴェルクは、時刻の時分表示が一般的な指針表示ではなくデジタル表示(ディスク表示)でございます。毎時毎分で瞬時に切り替えて次の時刻を表示して参ります。従来の指針表示ですと60秒及び60分に1度、最低限1〜2本を運針するだけでしたが、

ツァイトヴェルクは、毎時ですと最大3枚の時分ディスクを瞬時に切り替えを行なうという離業を行ないます。

独自のフライガバナー機構により、適切なパワーマネジメントによりこのモダンなモンスターモデルが成立しております。

ディスク表示による永久カレンダー搭載グランドコンプリケーションの表示方式は

パテックフィリップでも現代の主力モデルとして、瞬転切替式がございますが、

それを時刻表示でシリーズ製品化するのは、大変な偉業でございます。

永久カレンダーで毎月末、毎年末でしか堪能出来なかったこの感動が、

1日に何度も堪能することが出来るのは、所有されるオーナーだけの特権でございます。

以前にも時刻をデジタル表示するモデルは存在致しました。

代表作ですと巨匠ジェラルド・ジェンタ氏のレトログラード分針式ジャンピングアワーや

ハリーウィンストンの巨匠とのコラボ企画による限定生産コレクション「オーパス」のオーパス3がございますが、精度の安定感、視認性、操作性、継続製作には難しさがございました。

その4要素の全てを本モデルで達成させておりますので、腕時計史に残る偉業でございます。

特に「精度の安定感」「視認性」「操作性」は同社の真骨頂とも申し上げるべき、卓越した独自技術でございます。

まず、精度の安定感をもたらすのが、ルモントワール機構による動力制御装置にございます。

本来、機械式時計の動力源となるゼンマイは物理的な特性として最大巻き上げ時と

巻き上げが解ける寸前とのトルクの強さに大きな差異がございます。

それが精度の不安定要素となっておりましたが、

それを巻き始めから終わりまでの運動時の全てを適切なパワーで一定に保ちます。

これにより1分〜60分、1時〜24時までいかなる局面においても不変トルクで、

安定した精度を実現致しました。

超一流サッカー選手でドリブルを開始した

初速から100%トップスピードで走り、ボールの扱いやシュート、パス精度も狂いなく、

正確なプレイの出来る選手が極小数で存在致しますが、その様なイメージでございます。

片や人間と機械の違いと思われるかもしれませんが、

プレービジョンという観点での最終的なゴールという作業が

ランゲ製作陣とそのサッカー選手の積み上げて来た道程は近いものがあるように感じます。

次に視認性でございますが、

老若男女どの世代においても日常的なアラビア数字を分かりやすい大きな窓で、

表示する方式は、ただ突発的に斬新なアイデアが生まれたのではなく、

同社の代表機構であるアウトサイズデイトがベースでございますので、今まで培ってきた伝統技術が

しっかりと踏襲されており、それを応用した進化形でございます。

老眼やどんな泥酔状態でも指針表示とは違い

時刻を見誤る事はほぼ無いのではないでしょうか。

元々は同社の本拠地ドレスデンのゼンパー歌劇場の5分時計からの着想でございますので、

歴史的な側面からしても確かな製造哲学を感じます。

最後に操作性でございますが、

全てシンプルに竜頭のみで行ないます。

しかも時刻を「戻す」事も可能でございます。同社のユーザビリティとそれを実現する確かな技術力の高さを実感いただけます。これは従来のアウトサイズデイトでも2枚の数字ディスクをボタンで

操作を行なっておりますので、着用時でも操作が可能でございます。

配慮の行き届いた操作性には頭が下がる思いでございます。

本モデルのミニッツリピーターについてですが、根本的に従来品とは異なります。

まず、十進式リピーターを採用しており、従来の15分毎のクォーターチャイムではなく、

10分毎のチャイムとなり、より時打ち数が多くなります。

ルーツはアブラアン・ルイ・ブレゲ氏により発明された機構でございますが、主流のクォーターチャイムではなく、デジタル表示式との相性で採用された“デシマル”式でございます。

他社製リピーターは、主ゼンマイとは別の動力システムにより、スライドレバーにて起動致しまして、

ハンマーにて打ち鳴らす仕様でございますが、本モデルは主ゼンマイ(ツインバレル)より起動時に動力を一時的にリピーターに供給する為に輪列から切り離す機構を導入致しまして、

その構造は緻密に設計された安全仕様でございまして、一般的にリピーターの構造特性上、起動時の竜頭操作は

不具合の原因になりますが、本モデルはリピーター起動時、竜頭操作不可になります。

また、リピーター起動時で最大約20秒の時打ちを行ないますが、最中のデジタル時分表示が切り替わらない設計になっており、打ち終わり後にディスクが切り替わり、その1分後は通常時の瞬転切替に戻るという高度な魔法の様な超絶機構を搭載しております。

緻密に設計、計算され尽くされたメカニカル技術の最高峰、ある種、指針表示の

グランドコンプリケーションモデルよりも実用時の精度の誤魔化しが利かない点においては、歴代のデジタル表示モデルを凌駕する超大作と申し上げる事の出来る逸品ではないでしょうか。

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